わおん通信 2021秋号(vol.42)の追加コラム
わおん通信42(秋)号 7ページ「なるほど・ザ・ワード」で紹介しました「66%」の続きを掲載します。
家庭で行う脱炭素化による温室効果ガスの削減効果57例
※ この資料はNHK『57の温暖化対策「見える化」してみた(2021年9月7日)』を元に作成しましたhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20210907/k10013238301000.html ※ 資料の原典はKoide et al(2021)Exploring Carbon Footprint Reduction Pathways through Urban Lifestyle Changes:A Practical Approach Applied to Japanese Cities. Environmental Research Letters. 16 084001
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/ac0e64/meta ※ 資料内での削減量(計算値)は,「標準的な値」を元値として計算されており,人それぞれの事情や状況で当てはまらない場合も,数値が変わる場合もあります。ですから,標準的な暮らしをしている人(いったいどんな人だ?)の姿を想像しながら読んでください。 ※ 資料内での様々な行動の変更は「徹底的に変える(替える)」ことが前提に計算されていることを頭に入れて読んでください。ですが,徹底的にできない場合でも,できた程度分は削減されますし,今からできることもたくさんありますので,参考になります。
1.「住宅」の温室効果ガス削減(15例)
1)自宅を「ライフサイクルカーボンマイナス住宅」に建て替える 2.1t(29.6%)
ライフサイクルカーボンマイナス住宅:屋根の太陽光発電などで創エネし,かつ高い省エネ性能で日常的な外部からのエネルギー供給(購入)が実質ゼロで,さらに建物の建設やメンテナンスによって温室効果ガスの排出量も打ち消すことができる住宅のこと
2)自宅を「ゼロエネルギー住宅」に建て替える 1.8t(25.3%)
ゼロエネルギー住宅:屋根の太陽光発電などで創エネし,かつ高い省エネ性能で日常的な外部からのエネルギー供給(購入)が実質ゼロとなる住宅のこと
3)自宅を「準ゼロエネルギー住宅」に建て替える 1.4t(19.7%)
準ゼロエネルギー住宅:屋根の太陽光発電などで創エネし,かつ高い省エネ性能で日常的な外部からのエネルギー供給(購入)が25%以内となる住宅のこと
4)太陽光パネルを導入する+調理器をIHに変更する 1.4t(19.7%)
調理器をIHにすることで調理用のガスの消費量をゼロにする場合
5)太陽光パネルを導入する 1.3t(18.3%)
自宅の屋根に太陽光パネルを設置して消費電力と同じ量を発電する場合
6)自宅で購入する電力を再エネ由来100%に契約を切り替える 1.2t(16.9%)
以下は,電源を変更しない場合の削減量
7)自宅をコンパクトにする 0.24t(3.4%)
自宅の床面積を集合住宅の平均水準(約30㎡)にまでコンパクトにした場合
8)太陽熱温水器を導入する 0.18t(2.5%)
自宅に太陽熱温水器を導入してガスボイラーと併用し,給湯に必要なエネルギーの半分近くを太陽熱で賄って,給湯用のガスや灯油の消費量を削減した場合
9)断熱リフォームを行う 0.14t(2.0%)
自宅をリフォームして「断熱等性能等級4」相当にした場合
10)ヒートポンプ給湯器を導入して給湯用のガスや灯油の消費量ゼロに 0.12t(1.7%)
ヒートポンプ給湯器:エコ〇〇などの商品でよく知られる電気給湯器のことで,エアコンの暖房と同じで,空気をファンで吸い込んで,吸い込んだ空気中の(小さい量の)熱を圧縮して温度を高めて水を温める装置
11)自宅の暖房を省エネタイプのエアコンだけにする 0.12t(1.7%)
12)ウォームビズ・クールビズ 0.11t(1.6%)
自宅を「断熱等性能等級2」相当以下の住宅とし,ウォームビズやクールビズの服装をすることで,冷暖房のエネルギーを減らした場合
13)自宅の電球のすべてをLEDに変更する 0.09t(1.3%)
14)こまめな省エネでエネルギー消費を3%削減する 0.06t(0.8%)
15)自宅の窓を二重窓に替える 0.05t(0.7%)
2.「移動」にともなう温室効果ガス削減(22例)
※ 以下で出てくるマイカーは,標準的なガソリン車が「元」の車種になっています
1)ライドシェア(マイカーやタクシーへの4人の乗り合わせ) 0.51t(7.1%)
2)マイカーを電気自動車(EV)に変更(再エネで充電) 0.47t(6.6%)
電源変更なしで再エネ由来にしない場合の削減量は後述
3)買い物など日常的な短距離移動をマイカーから公共交通機関に変更 0.41t(5.8%)
自転車や徒歩に変更する場合の削減量は未計算,らに大きいことは確実
4)マイカーをプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)に変更(再エネで充電) 0.38t(5.4%)
電源変更なしで再エネ由来にしない場合の削減量は後述
5)完全テレワークの実施で通勤をゼロにする 0.28t(3.9%)
6)職場や学校の距離を近く(30分)に引っ越す 0.26t(3.7%)
どこから30分の位置に引っ越すのかは不明,都会の遠距離移動の標準値から求められているもよう
7)マイカーをプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)に変更(電源変更なし) 0.25t(3.5%)
8)通勤・通学をマイカーから公共交通機関に変更する 0.24t(3.4%)
9)マイカーを電気自動車(EV)に変更(電源変更なし) 0.24t(3.4%)
電源を再エネにした場合はEVの方がPHEVよりも削減量は大きくなったが,電源変更なしの場合は(差は小さいものの)逆の結果として計算されている
10)カーシェアの利用(マイカー保有なし) 0.21t(3.0%)
シェアする自動車の車種の記載なし
11)長距離移動をマイカーから公共交通機関に変更する 0.19t(2.7%)
回数,距離などの記載なし
12)コンパクトな街に住む 0.19t(2.7%)
日常的な買い物,通院,余暇活動などの移動時間が1日あたり平均10分以内のコンパクトな街の場合
13)マイカーをハイブリッド車(HEV)に変更 0.19t(2.7%)
14)帰省をオンラインに変更する 0.17t(2.4%)
15)休暇を近場で過ごす 0.15t(2.1%)
宿泊旅行の移動距離を90km以内にして,旅行目的での飛行機の利用をせず,マイカーや公共交通機関などの移動距離も短くなった場合
16)エコドライブを行う 0.15t(2.1%)
ガソリン車,ディーゼル車,ハイブリッド車の燃費を20%向上させる場合
17)まとめ買いをする 0.15t(2.1%)
(マイカーで)買い物に行く頻度を毎日から1週間あたり1回に減らした場合
18)マイカーを軽自動車(小型の省エネカー)に変更 0.13t(1.8%)
19)休暇を国内で過ごす 0.10t(1.4%)
海外旅行の代わりに,国内線の飛行機の移動距離の平均まで短くした場合
20)週末を地元で過ごす 0.06t(0.8%)
週末を近場で過ごし,レジャー目的で列車,バス,マイカーを利用する距離を,自転車による移動距離の平均まで短くした場合
21)国内線の飛行機移動を列車に変更 0.04t(0.6%)
22)タクシー移動をバス,自転車に変更 0.02t(0.3%)
3.「食」に関連する温室効果ガス削減(10例)
1)食生活を完全菜食(ヴィーガン)に変更する 0.34t(4.8%)
ヴィーガン:肉,魚,乳製品,卵を食べない食生活
2)食生活を菜食(ベジタリアン)に変更する 0.22t(3.1%)
ベジタリアン:肉・魚を食べない食生活
3)日常的な食事での肉類を大豆ミートなどの代替肉に変更する 0.19t(2.7%)
4)菓子,アルコール,ジュースを減らす 0.13t(1.8%)
菓子,スナック類,アルコール,清涼飲料水の消費量を,国が推奨する「食事バランスガイド」に基づいた健康的な食生活の水準まで減らした場合
5)バランスの取れた食事に変更する 0.12t(1.7%)
食事全体を,国が推奨する「食事バランスガイド」に基づいた健康的な食生活のバランスに整えた場合
6)肉類中心から魚類中心に変更する 0.07t(1.0%)
7)食事の肉類を鶏肉のみにする 0.07t(1.0%)
8)食品ロスをゼロにする 0.05t(0.7%)
9)旬の野菜や果物を食べるようにする 0.04t(0.6%)
旬の野菜や果物を食べて,ハウス栽培されるものを食べない生活をした場合
10)地元で採れた野菜や果物(だけ)を食べるようにする 0.01t(0.1%)
3.「その他」の温室効果ガス削減(10例)
1)レジャーをアウトドアや地域で 0.25t(3.5%)
エネルギー消費が多い娯楽施設(遊園地,映画館など)でレジャーを行う代わりに,アウトドアやスポーツ,地域での文化活動などで過ごす場合
2)衣類の購入量を4分の1程度まで削減する 0.19t(2.6%)
3)アルコールとたばこを控える 0.16t(2.3%)
アルコールとタバコの消費量をゼロにし,さらにタバコが原因となる医療サービスが不要になった場合
4)娯楽用品を長く使う 0.11t(1.5%)
エンターテインメント,スポーツ,ガーデニングなど娯楽に関する製品を長く使うことで,1年あたりの購入量を4分の1まで削減した場合
5)旅行サービスをエコに 0.09t(1.3%)
旅行先で,エネルギー消費の多い宿泊施設などを利用せず,代わりにアウトドア,キャンプなどで過ごした場合
6)消耗品を節約する 0.09t(1.3%)
消耗品(化粧品,衛生用品,台所用品,文房具など)を節約し,1年あたりの購入量を半分に削減した場合
7)小型家電を長く使う 0.05t(0.7%)
小型家電を長く使うことで,1年あたりの購入量を4分の1まで削減した場合
8)装飾品を長く使う 0.03t(0.4%)
バッグ,ジュエリーを長く使うことで,1年あたりの購入量を4分の1程度まで削減した場合
9)家具を長く使う 0.03t(0.4%)
家具を長く使うことで,1年あたりの購入量を5分の1近くまで削減した場合
10)電子書籍の利用 0.02t(0.3%)
印刷された本や雑誌を利用せず,代わりに電子書籍を利用した場合