2014年度事業方針
昨年秋からIPCCが7年ぶりに発表している第5次評価報告書は、地球温暖化の事実とそれが人間活動に起因することをほぼ断定しました。また、現状のまま推移すれば気象災害が頻発し、生物種の大量絶滅、食料危機や水を巡る紛争の激化などが発生すると警告するとともに、世界が協調して対策に取り組めば、産業革命以来の世界平均気温の上昇を2度未満に抑えることが、技術的にも財政的にも可能であることを示しています。
しかし日本政府は昨年11月、2020年までの温室効果ガス排出量について、原発が全停止している現状を理由に2005年比3.8%減(1990年比3.1%増)という消極的な目標を提出。また4月には、原発を「重要なベースロード電源」とするエネルギー基本計画を閣議決定し、福島第一原発事故以前となんら変わるところのないエネルギー政策を今後も維持する一方、再生可能エネルギー普及での目標設定は見送りました。
安全性など原発の評価については様々な意見がありますが、原発頼りの地球温暖化対策が失敗であったことは、日本のこれまでの温室効果ガス排出の推移から実証済みであり、同じことを繰り返しても、時間を浪費するだけの結果になりかねません。
現実政治は科学が打ち鳴らす警鐘に背反しており、この乖離を早急に埋めなければ人類の将来と多くの生物種が存亡の危機に直面することになるでしょう。私たちは環境問題の深刻さを一般の方々より良く知るものとして、また主権者として、こうした現状を変えるために今こそ力を尽くさなくてはなりません。
こうした観点からわかやま環境ネットワークは2014年度、以下の3つの基本方針をふまえながら、地球温暖化対策を初めとする多様な活動を強力に推進します。
- 国や県からの受託事業を、本ネットワーク定款に掲げる設立目的の達成に効果的に結びつけて展開し、地方自治体、学校、NPOや各種団体、企業、さらに環境問題に関心 のある市民など、従来よりひと回り広い地域主体との間で相互理解、相互協力の連携関 係を深め、活動の質と規模を大きく引き上げることをめざします。
- 個々の会員や推進員、地域協議会にとり、やりがいがあり、また知識や技能の向上など自己実現に役立ち、無理なく楽しく活動できるよう取り組み課題を整理して活動する ようにします。また1人でも多くの仲間に何らかの活動に参加してもらえるよう、すべての会員、すべての推進員に漏れなく声をかけます。
- 活発で誠実な活動で地域社会における信望を高める一方、わかやま環境ネットワークの活動やプロフィールを伝える効果的で戦略的な広報活動を展開し、知り合った市民や 団体、企業等に積極的に働きかけて会員や推進員を増やし、活動の主体的力量を強化するとともに後継者を育て、人的財政的に組織の維持発展の基礎を固めます。
① 「地域での温暖化防止活動基盤形成事業」
【環境省→全国ネット→県センターへの補助事業】
- 地球温暖化対策連絡調整会議の設置と開催運営業務
- 和歌山県内の民間分野における地球温暖化対策が効果的に推進できるよう、また和歌山県センターの活動内容が向上するよう、昨年より構成団体を増やしたうえ、年3回程度、開催します。
- 日常生活に関する温室効果ガスの排出の抑制等のための照会・相談・助言業務
- Webサイトおよび当事務所に相談窓口を設け、省エネ全般と再生可能エネルギーの普及等についての照会、相談に対応し、助言を行います。
- 温室効果ガスの排出実態の把握、分析業務
- 平成25年度のうちエコ診断実施データを把握し分析します。
- 平成26年度の家庭のCO2排出実態調査を推進員と連携して行い、内容を把握・分析します。
- 地域における地球温暖化対策の現状及び推進状況に関する啓発・広報業務
- IPCC第5次報告書の学習をテーマとする講座やセミナーを開催します。
- 省エネや節電に役立つ実践的なセミナーを開催し、実際に取り組んでもらいます。
また、これで得られたデータを把握・分析し、啓発や広報に活かします。 - 温暖化対策の現状や対策などについて啓発用ツールを作成し、各地のイベント等で活用します。
- 推進員との連絡を密にし、その活動を支援します。また学習ツールの作成や学習機会の提供等により推進員のスキルアップを援助し、地域ごとの組織化をすすめます。
- 民間の団体等における地球温暖化防止活動の活動実績調査及び活動支援業務】
- 昨年実施したアンケートを元に、各団体が温暖化防止活動を推進するのに必要な支援を行います。
② わかやま「節電所」建設プロジェクト事業
【環境省 地域における草の根活動支援事業】
- 各家庭で7~9月のうち2ヶ月間の使用電力削減にチャレンジしてもらい、 使用電力量の検針票(コピー可)を貼付けた記録提出封筒により集約します。
- 地域協議会や推進員グループ、女性団体と共同し広く参加者を募り・記録を回収します。
- 節電講師を養成し、節電セミナーを各地で開きます。
- 一般、学生向けの「節電所」ポータルサイトをつくり、参加登録や記録の回収ができるようにします。
- 今回も、当団体会員企業より賞品(直接的な賞品・サービスがない事業所も協賛企業として参加)を提供していただくよう、お願いします。
- 和歌山大学システム工学部に分析を依頼して、集約した記録を分析します。
- 取り組み優秀者の表彰式を開きます。
- 中小企業家同友会と連携し、中小企業対象の省エネ診断を実施します。
- 太陽光発電設備の新規設置者をモニターとした行動変容の調査を行います。
③ 市民がすすめる木質バイオマス利用事業
【環境省 地域でのCO2排出削減促進事業】
- 4年目を迎える木質バイオマス利活用の活動として、より広く恒常的に薪が地域に流通するよう、その拠点となる「木の駅」新設にむけ、地域の関係者との連携を図ります。
- 安定した薪需要先としての薪ボイラ-や薪ストーブの新規設置の開拓につとめます。
- 「木の駅」設置を望む関係団体の組織化やバイオマス搬出者の募集等を支援します。
- 木質ボイラーや薪の流通方法、木の駅等についての学習会を開催します。
- 安全技術講習や技術指導を行ったうえ、間伐搬出や林地残材の回収、薪づくりを実施します。
- 引き続き、地域の市民団体とともに「薪づくり交流会」を開催します。
④ 草の根運動推進事業
【和歌山県委託事業】
- 地域協議会等の草の根の活動を支援します。
- 和歌山県温暖化対策情報誌『わおん通信』(1500部、年4回発行)を編集します。
- 推進員養成講座&スキルアップ講座を開きます。特に今年度は青年学生層の推進員養成に努めます。
⑤ 省エネ啓発促進事業
【和歌山県委託事業】
- イベント会場で家庭におけるエネルギー消費の現状を調べ、その対策についてアドバイスを行います
- 各地でのイベント開催時、出展ブースに省エネ啓発員を派遣(うちエコ診断員準拠)
⑥ 理事会活動、組織の維持拡大にかかる諸活動・対外活動
- 理事会活動等
- 2か月に1回程度、適切な時期に開催し、活動と組織建設を強力に推進します
- また、非専従の会員にも加わってもらって理事会活動を支える事務局を強化します
- 会員拡大等
- 個人会員33人純増の150人、団体会員13純増の60を目標とし、活動で広がった結びつきを
意識的積極的に会員拡大に結実させます - 推進員養成講座の募集方法を改善し、最低10人の受講を実現するよう努力します
- 会員、推進員とも、若い世代の参加を特に重視して取り組みます
- 例会、専門部会等、会の独自活動
- 和歌山・海南の推進員グループ(サスティナブル・フォーラムわかやま=SFわかやま)の自立とあわせ、恒常的な専門部会等の設置をめざします
- 当面2か月に1回程度の頻度で例会を開催します(例会の内容は会員団体のフィールド訪問と環境問題関連の学習会(事業に伴うものを含む)で事務局が企画、ネット内外に広報して参加者を募ります)
- 個人会員33人純増の150人、団体会員13純増の60を目標とし、活動で広がった結びつきを
- 戦略的広報
- ≪対外広報≫ 引き続きプレスリリースは折を見て積極的に行います
また、学校など影響の大きな所への特別な働きかけを重視して行ないます - ≪対内広報≫ 機関紙『ういねっと』を『わおん通信』と同時に発行送付します
会員拡大とあわせメーリングリストの登録を増やし発言と交流の活性化を図ります
また、引き続き会員や推進員に対する電話連絡を積極的に行います - ≪SNS等≫ ホームページを見やすく刷新するとともに、節電所の参加登録など実用性を高めページビューの向上をはかります
また、各種SNSも効果的に活用します
- ≪対外広報≫ 引き続きプレスリリースは折を見て積極的に行います
- 対外活動
- 引き続き、和歌山県を代表する環境市民団体として、公的に要求される役割を積極的に果たします
- 地方自治体や各種団体、企業等、地域の各主体との相互理解、相互協力の関係を強化します
- 自分たちの活動が科学的な裏付けを得て社会により有効に活かされるよう、また若い層の活動参加を得て組織の将来の発展が展望できるよう、和歌山大学をはじめとする教育研究機関との連携強化を特に重視して取り組みます